校舎から出ると、四郎君は手を離した。
どうやら、あたしが逃げないことをわかってくれたみたい。
離されて、初めて恥ずかしくなってくる。
強引さに驚いて、周囲の目から逃げることだけを考えていた校舎内では、気づかなかった。
……はじめて、スサノオ兄弟以外の男子と手をつないじゃった……。
「どうした?」
「ううん、なんでも……早く行きましょう」
あたしは頬をたたいて、教会へと四郎君を案内する。
さっさと終わらせて、授業に戻りたい。
授業開始の鐘が鳴り響くなか、あたしたちは先生に見つからないように教会へと向かう。
やがて茂みの向こうに、無残に壊れた三角屋根が見えてきた。
「オロチの気配は……ないな」
四郎君は周囲を見回しながら、崩れた教会へ近づく。
午前中は警察が来ていたみたいで、立入禁止の黄色いロープがはられていた。
だけど四郎君は、そんなもの完全に無視。
長い足で軽々とそれをまたいでしまう。



