ただひとつ、あたしが他人と違うのは……


ものや植物についた精霊や

この世に強い未練を残した地縛霊

低級な動物霊から、まだ日本に残る、妖怪や神様の類まで


なんでもかんでも見えてしまうということ。


運が悪いと、さっきのおじいちゃんみたいに憑依される。


おじいちゃんみたいに、最期は病気で何も食べられなくて亡くなる人は多いみたいで、前にも何人かに取り憑かれた。


そのたびあたしは、彼らの無念な気持ちに支配され、それを満たそうと暴飲暴食をするはめになるんだ。


で、さっきのおじいちゃんみたいに、憑依された私が満腹になると、幽霊の気持ちも満たされ、成仏できる。


って、あのアイドルみたいな派手な顔の兄弟が言ってた。


廊下を全速力で走ると、まだ校内に残っていた生徒に指をさされる。


「あ、またあのイタい子だ」


憑依体質のあたしは、突然気分が悪くなって授業を抜けたり、人が変わったようになる。


だから、入学後すぐに、あたしは「イタい子」の烙印を押されてしまった。


どっちかって言うと、イタコに近い気がするけど。


なんて言ってる場合じゃなくて。


「う……ぐすっ……」


小さいころからこの体質のせいで、友達がいないの!


いいかげん寂しいし、悲しいし、
本当にどうにかなっちゃいそうだよ~!