「あ、あ、お、おはよう」


緊張のせいで、声が自然とうわずってしまう。


どこかから、「あの子、男子と話すときだけ声が変わるよねー」なんて悪口が聞こえてきた。


ひどいよ……ただの緊張しいなだけなのに……。


もちろん言い返す度胸なんかないけど。


黙ってうつむくあたしに、槙原くんは優しく声をかけてくれた。


「えっと……昨日はごめんね。
僕が無神経だったよ」


鼻水をふいたことを言ってる……んだよね。


「ううん、こちらこそすみませんでした」


本当はもっと軽く『気にしないで』、と言いたいのだけど。


周囲の目が怖いので、彼とはまったく深い関係ではないことをアピールしちゃった。


もともと、何の関係もないのに……。


「いや……じゃあ……困ったことがあったら、何でも言ってね」


槙原くんは、そんな余計に泣かせるような優しいセリフを言って去っていく。


ああ……もうちょっとお話したかった。


ヘタレな自分に嫌気がさす。


思わずため息をつくと、雷牙が突然声をあげた。