「ちょっと待てよ!」
「そうだ、やっぱり家族でもない男女が一緒に寝起きするというのは……」
スサノオ兄弟が割り込んでくる。
二人とも、えらく必死な表情なんだけど……なんでだろう。
とにかくこの状況から助けてくれるなら、なんでもいいや!
だけど、天草さんは余裕の(黒い)笑顔を二人に向ける。
「いや、我がここにいた方が、こやつも安全だぞ」
こやつってのは、あたしのことだよね。
安全ってどういうこと?
危険しか感じないんですけど……。
「どういうことだ」
風牙くんが不機嫌な顔で聞く。
「こやつはもう、オロチに目をつけられているだろう。
オロチは一度嗅いだ人間のにおいは忘れない。
それもうまそうな娘であれば、きっとやつはにおいを頼りにこやつを襲いに来る」
うまそうって……またあたしのぽっちゃりをバカにしてるんだ。ひどい。
なんてことを気にしてる場合ではなくて。
「あんたが美心を守ってくれるというわけか。
しかし、そういった力があるのは、お前だけじゃない」
「俺たちだって、オロチと戦う力はあるんだからな!」
雷牙は、どんと自分の胸をたたいた。



