ぐっと、胸に何かがこみ上げてきた。
押さえつけていた愛しさが溢れて、いつの間にか横にされていたあたしの目じりから流れて、耳をくすぐる。
「……お帰りなさい」
あたしはおずおずと、両腕を彼の首に回す。
すると彼は笑い、キスをしながらあたしを強く、抱きしめた。
ずっと会いたかった。
あたしたちはやっと、探し続けた自分の居場所に帰ることができたんだ。
もう、離れなくていいんだね。
あなたと見たかった二人の未来が、目の前に広がっていく。
怖いこともたくさんある。
厳しいことも、悲しいことも、この世界にだって、溢れている。
だけど、きっと、きれいで優しいものだって、たくさんたくさん残っているはずだから。
ねえ、あなた。
あたしの元に、帰ってきてくれてありがとう。



