「ちょ、じゃあなんでもっと早く来てくれなかったの?」
「そうかそうか、俺に会えなくてそんなに寂しかったか」
ああ、やっぱり現代じゃ「俺」なのね。
じゃなくて!
頭なでくりしないでよ!
「だって、四郎くん死んじゃうんだもん!」
あんな別れ方をして、ショックを受けないでいる方が、おかしいでしょう!
膨れると、先生はすまなさそうな顔をした。
「そうだよな。すまなかった。
でも俺も、お前の記憶を取り戻したのは、つい最近なんだ」
「そう……なの?」
「ああ。お前の記憶を取り戻してやっと、自分が産まれて生きてきた意味がわかった気がしたんだ。
会いたくて、仕方なかった」
なでくりして乱れた髪を直しながら、頬に触れられる。
それだけで、心臓が飛び出そうなくらいにドキドキした。



