「どれくらい?」
「え……っとわかんない、です、けど……。
とにかく、大好きで……」
あれ?
なんでそんなこと聞くんだろう?
それでなんで、あたしは素直に答えちゃってるの?
ちょっとおかしいなと思うと、ふっと短く笑う音が、すぐ近くで聞こえた。
顔を上げると、そこにはいたずらっ子みたいな先生の顔が。
「……ごめん。ちょっと、意地悪をしすぎた」
「え?あの……」
「我がお前を忘れるわけなかろう!このぼんやり娘が!」
先生はまるで大きなユリが咲いたような顔で笑うと、ぎゅっとあたしを抱きしめた。
我って……現代でそんな言葉を使う人は、ただひとり!
「やっぱり、四郎くん!」
ななな、なんですぐに白状してくれないのよ。
前よりも厚くなったような胸板をドンとたたくと、彼はあたしを離し、その視線であたしを射抜く。
どきりとするよりも早く、彼は甘くて低い声で、ささやく。
「お前に会いたくて、先に産まれて待っていた」
え……っ。
ということは、江戸時代から生まれ変わって、現代に先回りしてたってこと?



