「これは?これは、わかるでしょ?」
「……なにかのブランドものか?
こんな派手なアクセサリー、学校にしてくるなよ」
しまっておけ、と言われて、あたしの胸は空気を抜かれた風船のようにしぼんでいく。
「ごめんなさい……」
うつむくと、ぼたぼたと涙が溢れ、真新しい教会の床にシミを作る。
「ごめんなさい。
とても、似ているんです」
ひどいよ、神様。
こんな悪戯をするなんて。
あたしがどれだけ、彼が戻ってきてくれることを願っているか、知っているくせに。
「俺が?誰に?」
先生が、優しく聞いてくる。
聞けば聞くほど、その声は記憶の中の四郎くんと重なって。
余計に、涙が溢れた。
「大好きだった人です。
もう、会えなくて……でも、まだ、大好きで……」
しゃくりあげると、先生の大きな手が、あたしの肩に置かれる。



