ずらりと並んだ長椅子の一つに座っていたあたしは、顔を覆う。
深く息を吸って、涙をこらえた。
すると、突然ぎいいと木がきしむ音がして、思わず振り向く。
そこでは開かないはずの教会の扉が開いていて、人影が立っていた。
精霊たちはどうせ姿を見られないだろうと、相変わらずのんびりしている。
「……生徒は立入禁止のはずだが?」
低い低い声の、背の高い男の人だ。
スーツを着ているところを見ると、学校の先生なのかも。
涙がにじんでぼやける目をこすり、あたしは椅子から飛び上がる。
「ごめんなさい」
うつむくと、頭の上に声が降ってくる。
「クラスと名前は?」
「2年3組、神崎美心です」
ああ……どうやっていいわけしよう。
精霊がカギを開けてくれたなんて、信じてもらえないだろうし。
あーあ、やっちゃったなあ……。
どんなお説教を受けなきゃならないのかとうつむいたままでいると、先生はぼそりと言った。



