四郎くんがいなくなってしまってからも、季節は当たり前のように過ぎた。


修学旅行の相談が終わった後、あたしは裏庭を通り、ある場所へと足を運ぶ。


その途中で、校舎の2階から声をかけられた。


「おーい美心!」


見上げると、相変わらずみかん頭の雷牙が、ギター片手に手を振っていた。


最近は軽音部の活動に夢中で、ライブがあるたびにチケットを売りつけてきて、ちょっと迷惑。


盛り上がると、楽しいんだけどね。


「あっ、風牙くん」


雷牙に手を振り返して視線を戻すと、武道場の方から胴着の人影が。


それは、風牙くんだった。


「美心。今から教会か?」


「うん、お呼ばれしたから」


「そうか。勉強の方は順調か?」


「う……」


「わからなかったら、いつでも聞くといい」


じゃあ、と風牙くんは行ってしまった。


彼は受験生になって、部活との両立をしながら、毎日を忙しく過ごしている。


そうそう、槙原くんはなんと、彼女ができたみたい。


オロチの記憶は残っていなかったみたいで、クラスは別れちゃったけど、今も元気そう。