あれから、1年弱。


あたしは高2になって、また奈々ちゃんと同じクラスになった。


そのおかげで少しだけど他にも友達ができて、こうやって平和に修学旅行の相談ができている。


「そういえば、美心は個人行動の日はどうするの?」


奈々ちゃんが言うと、他の子もあたしの顔を興味深そうにのぞきこむ。


みんなは彼氏や、他のクラスに好きな子がいたりして、今から一緒に回る計画を淡々と立てているみたい。


「ええと……まだ決めてないや」


あたしは苦笑して答えた。


「でもさあ、中村っちも一緒に行けたらよかったのにね、修学旅行」


中村っちは、今の担任の先生。


去年結婚して、今お腹の中に赤ちゃんがいる。


「しょうがないよ、妊婦さんだもん」


「代わりの先生、良い人だといいね」


あたしはみんなに同調してうなずいた。


それにしても、まさか行先が長崎なんてね。


『天草四郎記念館』にも、湯島の教会にも、原城跡にも……行けるはずない。


だって、あなたの面影を見ただけで、きっと泣いてしまうから。


ねえ、おかしいよね四郎くん。


あなたはあんなにキレイだったのに……残っている肖像画も銅像も、全然似てないよね。