「今時修学旅行の行先が国内って、どう思う?」


奈々ちゃんが、頬を膨らませて言った。


「だよねー。ハワイとか行きたかったー」


「しょうがないじゃん?税金上がったしさー」


他の友達もぶーぶー言いながらも、合わせた机の上いっぱいに広げたガイドブックをああでもない、こうでもないと言いながらめくっている。


それらの表紙には、『長崎』と大きな字で書かれていた。