ああ、もう何も見えない。


何も聞こえない。


終っていく。


美心。


ありがとう。


人の心を救ってくれるのは、信仰なんかじゃない。


我の心を救ってくれたのは、デウスなどではなく、お前だった。


ありがとう。


忘れない。


いつか、また会おう。


どれだけの月日を要するかはわからないが、我は、お前のところに帰っていく。


花か、草か、空気か風か、姿かたちはどうであれ、きっとお前の元へ帰っていく。


どうしてだって?


言っただろう。


我の居場所は、お前の中にあるのだから。


我の生きた意味は、お前の中にあるのだから。




意識がなくなる直前に、天使の姿が見えた気がした。


それは、白い浴衣を着た、美心の姿だった。


笑っているのだな。


それでいい。


これからは、いつも笑っていてくれ。


いつか会える、その時まで。