「そんなわけで、ひっ迫した農民たちと一揆を起こしたわけだが……
結局原城で兵糧攻めにされ、我らは敗北を覚悟した。
そこへ、幕府軍が乗り込んできて……我はオロチと直接対決することになった」
風牙くんの本を見ると……たしかにひもじさに耐え切れなくなった農民たちは一揆を起こしたみたい。
でも結局は、幕府軍に鎮圧されてしまったんだ。
島原や天草はもともと、キリシタン大名が治めていた土地だったみたい。
けれど、豊臣秀吉の頃からの禁教令が徳川の世になって、ますます強まることになる。
もともといたキリシタン大名は関ヶ原で西軍についていたため命を落とした。
その後にきた大名に、残されたキリシタンの農民たちは厳しい弾圧を受け、ムリヤリ棄教させられていった。
しかし、ひっ迫した農民たちは、信仰という心のよりどころを求め、キリシタンに立ち返っていく。
それで、日本史上最大の農民一揆が勃発したというわけだ。
「最後は城に火を放たれてな……ああ、苦しかった」
天草さんは、とんでもないことを平気で言う。
火を放たれてって……だから、着物があちこち焦げてたんだ。



