笑おうと、しているの?
ブルーの瞳が儚げに、ゆらゆらと震える。
「笑わないでいいよ……」
もう、ムリしなくていいんだよ。
あたしのために、ムリなんかしなくていい。
ぎゅっと手を握ると、彼はそれを振りほどいた。
そして、強い力を込め、首にかかっていたロザリオの鎖を引きちぎる。
それを、あたしにそっと差し出した。
「持っていけ……、餞別だ……」
「四郎くん」
「微力、だが、お前を導いてくれるはずだ」
それをにぎると、四郎くんはぎゅっとあたしの手を包み込んだ。
「やだよぉ……」
これじゃ、本当のお別れみたいじゃない。
こんなもの、いらないよ。
あなたがそばにいなきゃ、どんなにキレイな宝石だって、意味がないんだよ。
「美心……あり、がとう。
楽しかった。とても」
「やめて……」
「早く行け。我が力尽きる前に、帰れ……!」
四郎くんが、風牙くんの目を見つめる。
すると風牙くんは何か了解したようにうなずき、その体から手を離した。
がくりとうなだれるようにうずくまる四郎くんを横に、風牙くんは雷牙とあたしを、無理やり立たせる。



