「あたしだって嫌だよ、四郎くん。
ねえ、帰ろうよ。
一緒にいるって、言ったじゃない……」
頬に触れた四郎くんの指先から少しずつ、熱がなくなっていくようで。
温めるようににぎっていると、ぼろぼろと涙が溢れだした。
「……すまんな。
我も、お前と、帰りたい。
けれど……」
そこまで言うと四郎くんはむせて、のどからごぼりと血を吐き出した。
「四郎!」
「四郎くん!」
このままじゃ、窒息してしまう。
動かすのは危ないとわかっていても、あたしと風牙くんは、彼の半身を起こした。
雷牙が何事かと振り返る。
その瞳は、もう涙で濡れていた。
風牙くんの腕に体重を預けながら、四郎くんは何度も咳き込む。
やっとおさまったと思うと、あたしの方を見つめて、言った。
「この通り、体が、動かないんだ……」



