「……よくやったな、美心」
それでも四郎くんは震える手を伸ばし、あたしの頬をなでた。
その手をにぎり、頬に押し付けたまま、あたしは彼に願う。
「四郎くん、早く帰ろう。
あたしの、あたしたちの家に」
もう、つらいことは全部終わったんだから……。
「ああ……」
四郎くんは返事をしながら、胸からロザリオを取り出す。
その手は震えていて、今にも崩れ落ちそうで。
もう一方の手で支えると、それから一筋の光が現れた。
すぐそばに魔法陣が出現し、来た時とおなじような、ブラックホールみたいな穴が現れる。
だけどそれはとても小さくて、あたしの部屋のドアくらいしかない。
四郎くんはそれを見ると、安心したように息をついた。
「時間がない……行け。
あれに入れば、帰れるはずだ」
「行けって……」
どうして、『行こう』って言わないの?
返事をしないでいると、四郎くんは困ったような顔をした。
苦しそうな息をしながら、ゆっくりと、あたしに言い聞かせる。



