『天草ぁぁぁぁっ!』
最後の力を振り絞るように、叫びながら、オロチは四郎くんに牙をむく。
「来いっ、オロチ!」
四郎くんは杖を捨て、両手を広げる。
あっと言う間もなく、その体にオロチの頭が飛び込んだ。
「いやあぁぁぁっ!」
オーロラの中を、赤い華が舞う。
それは、素手でオロチの頭を受け止めた四郎くんの傷から咲き乱れる。
「四郎くん!四郎くん!
やめてっ、離してええええぇぇぇっ!」
このままじゃ、四郎くんが死んでしまう。
あたしはオロチの頭にしがみつき、懇願する。
「四郎っ!」
雷牙の声が聞こえる。
二つの足音が聞こえたと思うと、傷を負ったスサノオ兄弟が、なんとか力ずくでオロチの牙を離させようとしていた。
「……早く、浄化を……っ」
風牙くんの声が聞こえる。
そうだ、泣いている場合じゃない。
震えるあたしの手を、誰かがにぎる。
そちらを見ると、肩に牙を食いこませた四郎くんが、笑っていた。
痛いはずなのに、怖いはずなのに。
血で汚れた顔で、それでも、笑っていた。



