「……い!戻って来い!美心!」
名前を呼ばれて、反射的に目を開く。
するとそこには、泣きそうな顔であたしをのぞきこむ四郎くんの顔が。
「四郎くん……」
「大丈夫だ。オロチの思念に捕われていただけで、お前は無傷だ」
そう言われれば、どこも痛くない。
気づくと、あたしの胸から放出されるオーロラ色の気が、まるで長いリボンのようにオロチの体を幾重にも包み込んでいる。
「助けてくれたんだね」
きっと四郎くんは、あたしが意識を失う前に、あたしを助けてくれたんだ。
彼が動きを止めていたもうひとつの頭は、オーロラの中でぐったりしている。
「ゆっくり話している暇はない」
消されまいと、その中でもがくオロチの首が、こちらをにらみつける。
『おのれ……おのれぇぇぇっ』
悔しそうな声が、今は悲しく聞こえる。
きっとオロチは、見た目だけで人の気持ちをつかんでしまう四郎くんがうらやましかったんだ。
だから余計に、憎かった……。



