「四郎くん……!」
彼の目前に、オロチの頭が迫る。
まるでキスするような距離まで近づいたオロチが、その大きな口を思い切り開けた。
その中には、やっぱり火の粉がちらついていて……。
今にも地獄の業火が吐き出されようとした。
その刹那。
「……かかったな!」
短く言うと、四郎くんは構えていた杖を振り上げ、逆手に持ち替える。
そして、それを思い切り、オロチの口の真ん中に突っ込んだ。
『ぐえぇええあああっ!!』
声にならない叫び声を上げ、オロチは悶える。
長い首が持ち主を失ったホースのように、どたばたと地上をバウンドする。
そのうちに、緑の血液と一緒に、十字の杖が吐き出された。
「来い!」
持ち主の命令で、杖は四郎くんの手に返っていく。
『おのれ……!』
あたしの目の前にいた頭が、怒りに満ちた声でうなる。
すると、倒したと思った頭が、牙の間から体液を流しながら、四郎くんに襲いかかった。



