「ねえ。あたしがあなたの花嫁になったら、他のみんなは助けてくれる?」
ごくりと、唾を飲み込んだ。
緊張で、ひざが震える。
そんなあたしをじろりとにらみつけ、オロチは慈悲のない声で吐き捨てる。
『できんな。
どうしてそれほど、人間を守りたがる?
今は仲間でも、いつ裏切るかわからぬ。
それは妖怪でも人間でも、同じこと』
オロチの声に、今までにない陰りが生じた気がした。
もしかして……オロチは……。
「あなたは人間に、裏切られたの?」
思ったことを聞くと、オロチの灰色の目がぎょろりと動いた。
「だから、人間を憎むの?」
細い線のような瞳孔が、微かに丸くなったような気がした。
鱗に覆われた生き物。その中に、必死で表情を探す。
だけど。
『……その話は、あとだ。
見ているがいい。
天草たちを先に始末してやる!』
ハッとみんなの方を見る。
スサノオ兄弟は傷を負いながらも、なんとか目の前の頭の動きを止めようと奮闘していた。
そして四郎くんも、黒髪や白装束のところどころを焦がされながら、なんとか杖をかまえる。
けれどついに力尽きたのか、彼の足が地面に縫い付けられたように、動かなくなってしまった。



