「兄貴!」
雷牙が、風牙くんに駆け寄ろうとする。
すると彼の足元にも、まるで濁流のように炎が襲う。
「うあぁぁぁっ!」
左足の膝から下を押さえ、雷牙がその場に転がる。
「何をしている!立てっ!」
もうひとつの頭に杖を向けていた四郎くんが怒鳴る。
「わかってるよ……!」
雷牙は痛みを噛み殺し、なんとか立ち上がる。
風牙くんも同じように、左腕一本で戦おうとしていた。
「みんな……!」
あたしの前の火炎が、すっと引いていく。
もたげられた鎌首が、振り下ろされる予感。
消されてしまう火炎より、直接の打撃の方が有効だと、思い直したんだろう。
「ま、待って!つぶさないで!あたしの話を聞いて!」
他の3つの頭は、仲間たちを狙ってまだ動き回っている。
『命乞いなら、聞かんぞ』
「そうじゃないの。
ねえ、あなたはあたしを花嫁にするって言ってたじゃない。
殺されたら、そんなことできなくなるよ?」
『……そういえば』
どうやらオロチはあたしの浄化能力を欲しがっていたことを、思い出したみたい。
思案しているような敵に、いちかばちか語り続ける。



