神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~

「ちっ!」


四郎くんは振り向きざま、十字の杖でオロチのむき出しになった牙を打とうとし、よけられる。


あたしはあたしで、先に攻撃してきた頭に追われるまま、逃げ惑う。


ちらりと視界の端に見えたスサノオ兄弟も、それぞれひとつずつ、オロチの頭と対峙していた。


火炎をごうごうと吐き出すオロチから逃れながら、リングを投げ、雷を降らせる。


けれど、その命中率も下がってきているみたい。


もう、誰かを頼りにすることはできない。


自分の身は、自分で守らなきゃ。


あたしは目の前の火炎を自分の気で避けながら、なんとかオロチ全体を浄化できる隙がないかとうかがう。


火自体の殺傷力は避けられても、吹き付ける熱風に汗が吹き出し、焦がされる感覚に体力が奪われていった。


「ぐぁっ!」


うめき声がして、そちらに視線を送る。


すると、風牙くんの右手が黒くくすぶっているのが見えた。


力を使いすぎた彼は、とうとうオロチの火炎を避けきれなかったんだ。


ひとつのリングが、風になって消えてしまった。