「消えてぇぇぇぇっ!!」
手から、オーロラ色の気が放出される。
吐き出された火の海が、その気に弾かれるように八方へ流れていく。
『おのれっ、小童どもめ……っ!』
怒りに震えたオロチの声が聞こえる。
時間がない。
こうしてる間に、他の頭に攻撃されたら終わりだ。
「美心!」
低い声が聞こえたかと思うと、体がふわりと楽になる。
あたしのオーロラに、金色の粉を振りまくのは……。
「四郎くん!」
「ムダな力を使うな!」
四郎くんは一旦炎を遠ざけると、あたしを抱いたまま後退する。
「ムダって……お前、ひでーな」
助けられた雷牙もはぁはぁ言いながら、走る。
「俺の弟たちに、何をする!」
怒りに燃えた声が聞こえ、そちらを振り向く。
すると追ってくるオロチの頭の後ろから、風牙くんのリングが迫るのが見えた。
「やるな、色男!」
四郎くんは雷牙の代わりに、風牙くんに加勢する。
オロチの首をとらえた風牙くんのリングに、自分の杖を投げつける。
するとリングは金色になり、恐ろしい叫び声を上げるオロチの頭を、少しずつ灰にしていった。
良かった……。
だけど、まさか怪獣映画みたいに火まで吹くなんて……。
まだ半分も残る頭ににらまれ、膝が崩れ落ちそうになった。



