「お前は……さっきの」
目がさめた様子の天草さんは、雷牙の横でぷるぷるしていた私を見た。
やっとおもちじゃないって理解していただけたでしょうか!
「神崎美心と申したか。
ここはどこだ。
なぜお前たちは、そんな珍妙な格好をしておるのだ」
珍妙なって……。
ザビエルエリの方が、よっぽど珍妙だと思うんだけど。
「ここはこいつの家だよ。
んで、お前は江戸時代から平成にタイムスリップしてきたんだ」
「は?隊務……?」
「雷牙、そんなことを言ってもわかるわけないだろう」
風牙くんは、持っていた通学用バッグから、ある本を取り出す。
その表紙には、『図説日本史』の文字。
日本史の授業で使う、副読本だ。
「ええと、島原の乱……」
天草四郎といえば、島原の乱。
あたしと同じで、二人ともそれくらいの知識しかないみたい。
風牙くんはぱらぱらとページをめくり、年表を天草さんに見せた。
「あんたの生きてたのは、ここ。
江戸時代だ」
天草さんは、眉間にシワを寄せて小さな文字を見つめる。



