「もち……」
その甘美な声が低く響く。
でも……「もち」って?おもち?
天草さんの腕が、こちらに伸びてくる。
キレイなブルーの瞳に見入っていたら、彼はいつの間にかすぐ近くに顔をよせていた。
そして。
「もち」
ともう一度つぶやくと。
なぜか、あたしの頬に……。
はむっと、甘噛みした。
「……っ!?」
「おい!」
「それは餅じゃないぞ!
似てるけど、餅じゃないぞー!」
頬というにはきわどい、口の端まではむはむされて、あたしはもうどうしていいのかわからなかった。
少し熱を持っているような、あたたかい唇に触れられ、息もできない。
気づけば、後頭部を押さえられているし。
っていうか。っていうか。
白くてまんまるだからって、おもちと間違えないで~!!
「やめろって!」
やっと雷牙が天草さんを止めて、あたしを救出してくれた。
は、はわわわわ……。
どうしよう、イケメンに顔食べられた……。
「……もち、じゃない……?」
「どうやったら間違えるんだ。
しっかりしろ」
風牙くんは呆れた顔で、天草さんの頬を軽くたたいた。



