「ん……」


朝。


目を覚ますと、あたしはちゃんと自分の部屋のベッドの上にいた。


いつの間に眠っちゃったんだっけ?


ぼんやりと部屋を見回すけど、四郎くんの姿がない。


彼がくれたクマだけが、あたしと添い寝していた。


「……朝ごはん?」


時計を見ると、ちょうどいつも起きる時間だった。


あたしはパジャマのまま、部屋を出る。


階下では、キッチンで食器が鳴るような音がしていた。


「おはよう」


リビングに顔を出すと、カウンターキッチンからお母さんが顔を出す。


そっか、夜勤だったもんね。


「お帰りなさい」


お味噌汁のいいにおいが漂うなか、リビングを見回す。


だけど、四郎くんの姿がない。


なんだか嫌な予感がして、洗面所をのぞく。


「ここにもいない」


すぐ向かいのトイレののぞき窓からも、電気の明かりが見えない。


それは、誰もいないということ。


「美心?なにしてるの?」


お母さんがおたまを持ったまま、キッチンから問いかける。