四郎くんの肩に手を置き、そっと顔を近づける。
唇どうしが触れ合う直前、あたしも目を閉じた。
二人の体温が、一瞬溶け合う。
すると、すぐに離れようとしたあたしの髪に長い指が絡む気配がした。
頭を捕まえられてしまったあたしは、背中に回された腕に閉じ込められる。
離れることは許されず、そのまま何度も唇を奪われた。
ぎゅっと押し付けるように、かと思えばなぞるように、ついばむように。
必死で応えようとするのだけど、呼吸の仕方さえ、どうして良いのかわからなくなる。
そのうち、そっと草が広がる大地に横たえられていた。
やっと解放されて見上げれば、四郎くんの肩越しに億千の星が瞬いていた。
「……怖がるようなことは、しないから」
あたしの上で四肢を折り曲げた彼は、あたしの額に、まぶたに、頬に、キスを落としていく。
「お前の心を、我にくれ」
すがるような声でそう言うと、ただ抱きしめ、キスだけを繰り返した。