白くなって、消えてしまえばいい。
そう強く思った瞬間……。
突然、噛みつかれた手から、あたしの気が目に見えるようになり、ふわりと立ち上った。
それは、オーロラみたいに何色もの色をはらんでいる。
そんなあたしの気が、黒ヘビにまとわりついた。
『え……っ』
そしてなんと、あたしの気は絵具みたいに、黒ヘビを溶かし始めてしまったんだ。
ぐるぐると、オーロラ色の光の中で、黒が消されまいともがく。
だけど、その闇の色はどんどんあたしの気に飲み込まれて、同化し……。
やがて、全体が白い雲のようになった。
『消える』
紙井湯先生の、静かな声が聞こえた、刹那。
──パシュッ!
雲は風船のように膨れ上がり、勝手に破裂してしまった。
『ほ、ほんとに消えちゃった……』
『すげえ!どうやったんだ?』
雷牙が驚いたような、興奮したような表情で聞いてくるけど、あたしだってよくわからない。
『……なんてことだ。
妖怪の気が、完全に消えてしまった』
風牙くんも呆気にとられたような顔をしている。
『何が起こったか追及するのも大事だけど、こっちの子も見てくれるかな』
いけない、忘れてた。
紙井湯先生に言われ、あたしたちは天草さんの方を振り向いた。



