「四郎、くん……?」


小さな声が聞こえ、ハッとする。


振り返れば、美心がぼんやりした瞳でこちらを見ていた。


「美心……大丈夫か?」

「うん……」


まだ、どこかだるそうだ。

雨にうたれたせいで、熱が出始めたのかもしれない。


「四郎くん……みんなは……どうなったの……?」


「あの兄弟も、他の人間も無事だ。
妖怪は始末した。

我がいるから、安心して眠れ」


額をなでると、美心はさっと頬を赤く染めた。


布団でその顔を隠しながら、小さな声で返事をする。


「ありがとう……でも四郎くんも、ムリしないでね」


……なんて、可愛いことを。


「じゃあ、一緒に眠るか」

「やだ。
四郎くん大きいから、邪魔。
ベッドからはみ出しちゃう」

「はは……そのとおりだな」