『あっオイ、触るなっ!』
雷牙があたしに気づいたのは、少し遅かった。
もうすでに、指は黒ミミズに接触していて……。
うねうねした黒い線のようだったそれが、突然ヘビのような鎌首をもたげた。
あっと思って、指を引こうとする。
だけど、ミニ黒ヘビは容赦なくあたしに噛みついた。
ーーかぷぅ!
『いった、いたぁぁぁぁい!!』
黒ヘビを振り払おうと、腕ごとブンブン振り回す。
そうすればそうするほど、黒ヘビは牙を強く食い込ませた。
痛みで、涙がにじむ。
『やめてってばー!』
どうしたらいいの!?
妖怪は見えるけど、戦ったことなんかもちろんないし。
飢えた霊みたいに、たくさん食べればいいわけじゃなさそうだし。
『バカだなぁ!どうすんだよ!』
雷牙が周りであたふたする。
『美心、除霊のようにいかないのか?』
風牙くんも心配して、のぞきこんでくる。
だからぁ、除霊のやり方なんて知らないし!
ただ、霊が成仏するときだけ、なんとなく相手の気と自分の気が絵の具みたいに混ざり合って……。
どんな色の気でも、最後は『無』の白になる。
『うええぇぇ、これも白くなって消えちゃえばいいのにー!』



