頭の上のお皿って……それ『ある妖怪』じゃなくて、『かっぱ』って言えばいいじゃん。
とにかく、スサノオ兄弟(と呼ぶことにした)は『悪霊や妖怪と戦って倒す』ことはできても、彼らを救うことはできないらしい。
『だから、あたしが憑依されて困っているときも、助けてくれなかったんだね……』
恨みがましく二人をにらむと、両耳ピアスだらけの雷牙が、平気な顔で言った。
『そうそう。俺らが手出すと、美心の精神まで崩壊させかねないから。
それにお前、なんだかんだ言って、いつもやつらを成仏させてやってるじゃん』
いっぱい食べてるだけだし。
しかもそれ、あたしの意志、完全無視だし。
ぶうとふくれていると、突然障子が開いた。
『手術は終わったよ。
と言っても、何針か縫っただけだけど……』
紙井湯先生は、ふうと息をついた。
その顔色から察するに、天草さんの命に危険はないみたい。
ほっとすると、あたしたちは先生に招かれるまま、天草さんが寝ている部屋に入る。
『麻酔もしたし、点滴もしてる。
だけどやけに、苦しそうなんだよね……ここからは僕の範疇じゃない気がするんだけど』
そう言って先生は、スサノオ兄弟に視線を送った。



