「なに笑ってんの?違うから。
ただあの人、挙動不審で面白いから目が離せなくて、それで……」
「それで、見てたのね」
「見てないってば!」
むしろ最初は、槙原くんの方を見てた。
彼は朝のことなんか何もなかったかのように、普通の顔をしていた。
そんな彼を見て、なんて大人なんだろうと思ってた。
もし自分が朝イチで失恋したら、へこみすぎて早退するかも。
「自分で気づいてないだけじゃない?
美心、熱ーいまなざしで、彼のことずっと目で追ってたよ」
まさか!
「もう、冗談やめてよ」
「いいじゃん、いとこなら問題ないじゃん」
「そういうことじゃ……だから違うってば」
「ねえ、お昼一緒に食べない?
あたしの友達も一緒にさ。
で、そこんとこじっくり聞かせてもらおうじゃない」
やっぱりちょっと強引な奈々ちゃんは、こっちの言うことなんか聞いてないみたい。
お昼を一緒に食べるというありがたい申し出は、受け入れさせてもらうけどさ……。



