「はい、終了」


そう言われて窓の方を見ると、今まで見えなかった幽霊の手のアトが、びっしりついていた。


「うわあ……あはは、やっぱこうでないと落ち着かないね」


元の、気味の悪いあたしに戻っちゃった。


本当にうまく対処できるか、ちょっと不安がよぎる。


「大丈夫だ。我がいる」


にやりと笑う彼は、まだあたしの手首をつかんでいた。


「あれ……手……?」


「ん?」


「やっぱり、口じゃなくてもできるんじゃん!!」


「ああ……血の道に近いところなら、どこでもな。

だけど口が一番確実だ」


「もううううう!!」


人のファーストキスを、あんなに強引に奪っておいて!


「返せっ、戻せっ、あたしの初キス~!」


「ん?やはり口を吸ってほしいのか?

よしよし、たっぷり返してやろう」


「違うぅぅぅぅ~っ!」


ぽかぽかと殴りつけると、四郎くんは腕でガードしながら、笑っていた。


いつまでものんきに、意地悪く笑っていた。