カレーを5杯食べ、完全にまったりモードになってしまった四郎くんは、お風呂に入ってもぐだぐだとソファを占領してテレビを見ていた。


お母さんはそんな四郎くんに寄り添い、満足そうだけど。


お父さんは少し落ち着かないみたい。


「あたし……部屋で宿題しよっかな。
四郎くんも行こう」


「ん?我はいい」


そりゃああなたには、学校も試験も宿題も、なにもないでしょうけど。


「お願いだから……ちょっと、来て」


ムリに腕を引っ張ると、四郎くんは嫌々ながらものっそりと立ち上がり、両親におやすみなさいのあいさつをした。


一緒に階段を昇っていくあたしたちを、お父さんがちょっと心配そうに見ていたけど、結局何も言わなかった。


四郎くんを自分の部屋に招き、床に座らせる。


長身の四郎くん一人が座っただけで、いつもの部屋がすごく狭く見えた。


「なんなのだー、我はテレビを見ておったのにー」


まるでバカ殿みたいに膨れる四郎くんは、カリスマのカの字もなかった。


「あのね、お母さんとお父さんって、それぞれの仕事で二人で一緒にいられる時間がすごく少ないの。

たまには夫婦の時間を作ってあげなきゃ」