一応話が終り、診療所を出るとき、紙井湯先生があたしたちを見送ってくれた。
妖怪ガールズがこの診療所にいることになったのが、よっぽど嬉しいみたい。
「大人っていやらしい……」
「ははは、美心ちゃん、ねたまないの。
キミだって修行を積めば、彼女たちのようになれるさ」
全身の脂肪を吸引して胸に入れても、そうはなれんわ。
と即答しそうになったのをこらえた。
四郎くんとスサノオ兄弟はいまだに口喧嘩してるし……。
「天草くん、楽しそうだね」
「えっ?」
「天草四郎っていうとさ、若くして一揆の総大将になったって情報しかないから。
すごいカリスマで、本当の聖人君子みたいな人を想像してたけど……意外と普通の若者だね」
紙井湯先生の言葉は、よくわからなかった。
普通?どこが?めっちゃ変じゃない?
セリフさえ聞かなければ、3人でじゃれているように見えなくもないけど……。
うーんと悩んでいると、先生はくすりと笑いをこぼした。



