尾っぽの先からぼたぼたと落ちてきた緑色の液体が、ドームを濡らす。


そのままじっとしていると、尾っぽはずるずると天井の上へと消えていった。


その途端、教会全体を覆っていた悪い気配も消えて、ばくばくいっていた心臓が、ようやく平静を取り戻しはじめる。


「……退散したか」

「えっと……おしりあい、ですか?」

「宿敵だ……ちっ……」


ザビエルさんは腕を下ろす。


すると、あたしたちを覆っていたドームも消えた。


「あ、ありがとうございます……おかげで助かりました」


ぺこりとお辞儀をするけど、ザビエルさんは苦しそうな顔でお腹を押さえる。


ああ、そういえばこの人怪我をしているんだった。


「お前は……いったい、誰だ?」

「あ、あたしは……神崎美心と申しますけど……」


どうしよう。救急車とか呼んでいいのかな。


保険証も持ってないだろう、空から落ちてきた人って、診てもらえるのかしらん。


オロオロしていると、ザビエルさんはどかりと座り込んでしまった。


よく見ると全身が汚れている。


まるで、火事にでも巻き込まれた人みたいに、着物のところどころから焦げたようなにおいがした。