「そういえば……」
教会の近くにいた、小さいおっさんが言っていた。
オロチはまだこの近くにいるだろうから、自分たちは引っ越すんだって……。
本当に、別の土地に引っ越してしまったの?
あたしが……オロチを召喚しちゃったせいで。
突然寂しくなって、胸がきゅうと痛んだ。
今まで人間の友達はいなかったけど、良い精霊や小さいおっさんは、いつでもあたしを受け入れてくれた。
話し相手にもなってくれたし、泣いていたら慰めてくれた。
そんな彼らが、いなくなってしまった……。
「……神崎さん?」
ぼんやりしていると、突然声をかけられた。
そちらを見ると、そこには槙原くんが。
黒ぶちメガネの奥の目が、不思議そうにあたしを見てる。
やばい、木を見つめてぼんやりしているところを見られた……。
変な子だと思われたかな。
ちらと奈々ちゃんの方を見るけど、まだお取込み中みたい。
槙原くんも奈々ちゃんを見て、なんとなく事情を察してくれたようで、小さな声であたしに話しかける。



