「あ、ありがとう……でもあまり気を遣わないでね。
あたしなんかのノートで良ければ、いつでも貸すから」
ありがたく彼女の好意を受け取ると、森永さんはうなずいた。
「うん。またよろしくね。
私、この高校ギリで受かったからさ、勉強ついていくの大変なんだ。
助けてくれると嬉しい」
あたしの目を真っ直ぐ見て、くるりと上がったまつげの下の目が笑う。
うわあ……どうしよう。嬉しい。
森永さん、周りのイケメン軍団じゃなくて……あたしを見てくれてる。
こんなこと、今までなかった!
こくこくこくと勢いよくうなずくと、森永さんは笑う。
「神崎さん、最近すごく良くなったよね」
「えっ?」
良くなったって、なにが?
「前はハッキリ言っちゃうとさ、まとってる雰囲気がどんよりしてたんだよね。
いかにも暗そうで」
ずっきーん。
森永さんの言葉は、あたしの胸に鋭い矢となって突き刺さる。
やっぱりそう思われてたんだ……。



