月夜のメティエ

 友達と飲みに行くと、家に辿り着いてから酔いがまわり、奏真が居れば介抱する羽目になる。

「独身女性1人で住んでるとね、家に帰るまで気を張っていないと危ないからね。着いてから酔いが回るわけ。そんで倒れるの」

「この間もな」

 先日は、奏真が12時頃に帰宅すると、玄関に転がっている物体が。それは、あたし。泥酔して脱力しているのをベッドに運ぶのは大変だったそうだ。ごめん……ピアニストにそんなことをさせて……。

「でもこれ美味いから良いか」

 美味しいおつまみ見つけて来たから、それでチャラにして欲しい。(ならないけど)


 夕飯を済ませて、あたしはバスタイムへ突入する。自分ではそんなつもり無いんだけど、長風呂なんだよね。待ってる間に奏真が寝てしまうこともしばしば。

「お風呂上がったら、マニキュア塗ろうっと」

 バスタオル、奏真の分も脱衣所に置いておこう。

「ビール飲んで良い?」

「良いよ。買ってある」

 冷蔵庫を開ける音を背中にして、あたしはバスルームへ向かった。