月夜のメティエ


「相田さん、最近ちょっと変わったね」

「そうですか?」

 部長のところから戻ってくると、カズヨ先輩が声をかけてきた。

「なんか、強くなったよね」

「そう……かなぁ」

 あんまり自分では気付かないけど。ただ、前よりも色々がんばろうとは思っている。

「……男だな」

「またそうやって、カズヨ先輩は」

 なんかずぐ男に結びつけて考えるな、先輩は。すぐそうやって、もう。

「結婚すんの?」

 遠坂部長を気にして、小さな声で聞いてきた。手を口に添えたりして。

「あー……どうでしょうか。まだ先ですよ」

「やっぱりな。あの同級生か、どうなんだ白状しろよ」

 またその口調。おもしろい……グイグイ聞いてくるし。

 あたしとカズヨ先輩がなにやら話してるようだなと、米田くんは伸び上がってこっちを見てる。ガールズトークに混ざりたいのか。女子か、きみは。

「えっと……ああでも、変なことにはなってないですよ。身辺はとてもクリーンです。お互い」

「あらそう~良いわねぇ」

 ……「ICHIRO」のママみたいだな……。

「結婚の報告、待ってる!」

 ガッツポーズを見せて、カズヨ先輩は打ち合わせに走って行った。急いでたなら行っても良いのに……。聞きたかっただけじゃん。