奏真の演奏が始まった。
思わず吹き出してしまった。恥ずかしい。だってブラームスの「愛のワルツ」だったから。軽やかに優しく、楽しそうに。分かりやすいね……いや、素敵ですけれども。
彼の演奏に、おしゃべりに夢中だった客はそれを止め、ピアノの方を振り向く。
その後は「乙女の祈り」だ……むしろ、あんたが乙女か。
なんだか、そういう感じの曲ばかり、4曲止めずに弾いていた。楽しそう。自分の為に弾いてる感じ。幸せそうに、楽しそうに。こちらまで笑顔になってしまう。
弾きながら揺れる髪も、楽しげに緩む口元も。睫毛も、耳も。
あそこに居て、ピアノを弾いているのは、大好きな奏真。なんだか、夢みたいだよ。
そして、ドビュッシーも。自惚れてしまうなら、これはあたしへ向けて……だと思いたい。違うかな、どうしよう違ってたら。
店内に散らばる音の光。それを吸い込むように、目をつぶって深呼吸した。いつまでも聞いていたい。そう思うひととき。
演奏が終わると、立ち上がって軽く一礼をする奏真。すると、拍手が起こった。少し驚いた様子の奏真。いつもと店内の反応が違うみたいだ。
嬉しそうな奏真の顔。あたしもそれを見て、とても心が温かくなって、そして、嬉しくなって涙が出た。
みんな、奏真のピアノ、聞いてたんだなと思ったら、涙腺が緩んじゃったよ。
一緒に住むか。
そう言ってくれたのは、それからすぐのこと。
***
思わず吹き出してしまった。恥ずかしい。だってブラームスの「愛のワルツ」だったから。軽やかに優しく、楽しそうに。分かりやすいね……いや、素敵ですけれども。
彼の演奏に、おしゃべりに夢中だった客はそれを止め、ピアノの方を振り向く。
その後は「乙女の祈り」だ……むしろ、あんたが乙女か。
なんだか、そういう感じの曲ばかり、4曲止めずに弾いていた。楽しそう。自分の為に弾いてる感じ。幸せそうに、楽しそうに。こちらまで笑顔になってしまう。
弾きながら揺れる髪も、楽しげに緩む口元も。睫毛も、耳も。
あそこに居て、ピアノを弾いているのは、大好きな奏真。なんだか、夢みたいだよ。
そして、ドビュッシーも。自惚れてしまうなら、これはあたしへ向けて……だと思いたい。違うかな、どうしよう違ってたら。
店内に散らばる音の光。それを吸い込むように、目をつぶって深呼吸した。いつまでも聞いていたい。そう思うひととき。
演奏が終わると、立ち上がって軽く一礼をする奏真。すると、拍手が起こった。少し驚いた様子の奏真。いつもと店内の反応が違うみたいだ。
嬉しそうな奏真の顔。あたしもそれを見て、とても心が温かくなって、そして、嬉しくなって涙が出た。
みんな、奏真のピアノ、聞いてたんだなと思ったら、涙腺が緩んじゃったよ。
一緒に住むか。
そう言ってくれたのは、それからすぐのこと。
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