「そんなこと心配しなくていいのにー! 私はお母さんが幸せならそれでいいもんっ。お父さんだって、きっとそれを願ってるよ」 ね?と微笑むと、お母さんは少しだけ安心したように笑った。 「そうね……。ありがとう比乃」 ゆっくり私の肩に手を回し、お母さんはぎゅうっと私を抱き締めた。 小さく耳元でズッと鼻をすする音が聞こえて。 ……私もちょっとだけ泣きそうになった。 「お母さん、幸せになってね」 ぽんぽん、とお母さんの背中を叩く。 お母さんは優しい声で「うん…うん…」と声を漏らしながら頷いた。