サラリと口にするからそれ以上は突っ込めなかったけど。 ……お母さんもいないから、佑真が家族として文化祭を見に来たってことだよね。 部活命の佑真がサボってまで。 優しい兄貴じゃん……。 弟くんはちょうど店番をしていて、あたし達は誘導されるがままに巨大迷路に入った。 ……弟くんは、まるで小学生時代の佑真が現れたかと思うくらいそっくりだった。 「巧真(タクマ)、頑張れよ!」 「兄ちゃんありがとな!」 巧真くんという名前の弟くんは、佑真が来たことを、すごく喜んでいた。