(へぇ…やっぱ人間なんだ)


何だかほっとした秋文だったが、

バタン、ドスン…

すぐに室内から大きな物音が響いて、慌ててドアを開ける。

「ちょっと待て、何勝手に人ん家に入ってるんだ。ここにはお前の部屋なんてないぞ」

「二部屋あるじゃないか。左の部屋は物置になってるみたいだから、ここを使う」

「お前、人の話を聞けよ!!第一、出した荷物はどこに置くんだ。スペースなんかないだろ」

「大丈夫。オレ、掃除得意だから。適当に片付けとく」

言った矢先から、紋瀬はどんどん秋文の物を廊下に出していく。

それから振り返ると、


「ゴミ袋、どこ?」


「整理整頓じゃなくて、捨てるつもりか!!」


こうなったら食料調達どころではない。

「あー、もう分かったよ、片付けるから勝手に触るな」

部屋の入り口に立ちふさがると、秋文は両手を広げて侵入を拒否した。

「何で?一人でやるより二人の方が早く終わるよ。それとも、見られてマズい物でもある訳?」

紋瀬は真顔で聞いてくる。

「ない!!だけど人に触られると、何がどこにあるか分からなくなるから嫌なんだ」

「あんた、A型?」

「あぁ、そうだよ。だから何だ? 文句でもあるのか」

ギッとすごい目で睨みつけると、

「別に。じゃあ、昼までに終わらせてくれよ」

肩を竦め、紋瀬はあっさりと引き下がった。

「?」

「午後一番の宅配便で、オレの荷物が届くから」

「く…このーっ」

「勉強道具、書籍一式、服、仕事道具。最低でもそれだけの荷物はあるから、スペースの確保よろしく」

涼しい顔でそう言うと、紋瀬はリビングの方へと消えていった。


(一言くらい相談しろよな…馬鹿親父…)


はぁっと大きなタメ息をつくと、秋文は部屋を片付け始めた。


        ― 完 ―


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