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「――それ以来、あの子は笑顔を失ったのです。学校にも行かず、一人部屋にこもるようになってしまった。心を閉ざしてしまったあの子の気持ちをさらに抉るように、周囲の者も中傷もあったせいでしょうな」
「そんな…紋瀬くんは悪くないのに」
秋文の言葉に、八助はゆるく笑んだ。
「皆があなたのような人であれば、良いのじゃが。世の中、そうもいかん。鬼がこの村から居なくならんのは、坂上のせいだと罵られたこともあった。人間を喰らい、力を得た鬼を逃したことは、後に村の人間に恐怖と恨みを抱かせてしまったようじゃ。それは十年経った今でも、根強く村人の心の中に残っておる」
「…」
本来なら、紋瀬も八助も息子夫婦も被害者のはず。
それが『坂上』の名と力を持つというだけで、加害者となってしまう。
閉鎖された村の中で、どれだけ二人は辛い思いをしてきたのだろうか。
紋瀬の冷たい瞳を思い出して、秋文は心が痛んだ。
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「――それ以来、あの子は笑顔を失ったのです。学校にも行かず、一人部屋にこもるようになってしまった。心を閉ざしてしまったあの子の気持ちをさらに抉るように、周囲の者も中傷もあったせいでしょうな」
「そんな…紋瀬くんは悪くないのに」
秋文の言葉に、八助はゆるく笑んだ。
「皆があなたのような人であれば、良いのじゃが。世の中、そうもいかん。鬼がこの村から居なくならんのは、坂上のせいだと罵られたこともあった。人間を喰らい、力を得た鬼を逃したことは、後に村の人間に恐怖と恨みを抱かせてしまったようじゃ。それは十年経った今でも、根強く村人の心の中に残っておる」
「…」
本来なら、紋瀬も八助も息子夫婦も被害者のはず。
それが『坂上』の名と力を持つというだけで、加害者となってしまう。
閉鎖された村の中で、どれだけ二人は辛い思いをしてきたのだろうか。
紋瀬の冷たい瞳を思い出して、秋文は心が痛んだ。
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