「お前さんの言うとおりじゃ。息子夫婦が死んだ十年前に、紋瀬は感情というものをなくしてしまったんじゃ」

「息子さん夫婦が亡くなった原因は?」

「交通事故でな…いや。表向きは交通事故ということにしておるのじゃが、お前さんに嘘をついても仕方のないことなので正直に話しましょう」

「?」

意味深な言葉に、秋文は首を傾げる。

老人が告げた真実は、思いもよらないものだった。


「二人はこの家で鬼に襲われ、喰われてしまったんじゃ」


「えっ?」


秋文は自分の耳を疑った。

「それも幼い紋瀬の目の前でな。老いたわしにはどうする事もできんかったよ」

言って、八助は目を閉じると、その時の様子を淡々と語りだした。
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