「ジンジャーエールとカルピスのMサイズ。あと、キャラメルポップコーンも」
さらりと店員さんに告げたユキは、いつの間にか手慣れている。
いつものやつを言わなくてもわかってくれているんだ。
さっきチケットを買った時もあたしがなにも言わなくていいように気をつかってくれていた。
慣れた場所。慣れたやりとり。
それにしたっていつの間にこんなにしっかりしてきたんだろう。
あたしがすぐに口出ししちゃうのもあるんだろうけど、どちらかと言うと大人しい雰囲気だった。
それがだめとか嫌とかじゃなくて、優しすぎるくらい優しいユキのそばにいるとホッとしていた。
今のユキは、なんだか男ってかんじがする。
高校に入って、背が伸びて、体が骨ばって、だけどすぐに柔らかく微笑むのは変わらない。
彼は男なんだと。あたしは女なんだと。
強く感じた。
大切に大切に、優しく気づかわれていることがわかってあたしはたまらなくなる。
繋いだ手をきゅうと強く握った。

