映画を見終わると、ふたりでわけあったポップコーンが刺激となって、おなかがすいていた。
グッズを軽く見て、パンフレットだけを買う。
そして、この前行こうとしていたけど、タイミングが合わず結局行けずじまいだったカフェに入った。
レンガ風のデザインの壁にオレンジっぽい暖かい色合いのライト。
テーブルも椅子も木製で優しい雰囲気だ。
同じ素材のカウンターからはいい香りがしてくる。
もっと奥には厨房があるんだろう。
お洒落な店にキョロキョロとしながら少しドキドキする。
注文を終えて、ようやく腰を据えて話をし始めることができた。
「すっごいよかったよね、あの映画!
ラストとか泣いたー」
前に身を乗り出すと、ユキもそうそう、と頷く。
「僕は主人公が友だちを助けるために走り出したシーンが好きだったなぁ」
「わかる、かっこよかったよねー!」
ふたり揃ってテンションは急上昇。
こうやって好きなもので一緒に盛り上がれるって本当に素敵なことだよね。
頼んだオムライスを口に含んで、映画を思い出して泣きそうになったり、笑いあったり。
ああ、とても、
「楽しいね、ユキ」
そう言ったあたしに手の動きを止めて、ユキはここ最近よく見るようになったはにかみ笑顔を浮かべた。
そして、お決まりのように少し眉を下げたんだ。

