あの日、先輩に電話をかけた日から一週間近くの時間が過ぎた。 先輩のことだから、留守電設定をまだしていないんだろうな。 はぁ、とため息を吐く。 ため息を吐いたら幸せが逃げる、なんて言うけど、吐かなくても逃げていくあたしは一体どうしたらいいんだろう。 号令のかけ声に合わせてした挨拶は面倒で。 ジーッと鞄のチャックを閉めた。 コートを着て、マフラーをぐるぐると巻きつけた。 手袋を握り締め、さて、帰ろうかな。